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アジャイル

完璧主義より完成主義!「雑の極意」を学んでとにかくやってみよう!

理人

「雑に作る」と聞いて、どんなイメージが浮かびますか?一般には、いい加減とか適当、粗悪でしょうか?

この「雑に作る」とは、石川 大樹さん、ギャル電さん、藤原 麻里菜さんが先日出版した書籍『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』、そしてその元となったブログ記事に書かれているモノづくりの極意です。この本やブログは、電気工作をテーマにして書かれていますが、何かに取り組んで技能を向上させたいすべての人に刺さる内容となっています。

今回の記事では、システム開発事業を推進する会社に所属しながら、社会人博士学生としてゲノム解析の研究に取り組む筆者の体験と共に、「雑に作る」良さについて語っていきます。

なお、10月に開催された「Maker Faire Tokyo 2023」では、この本の発売を記念して、トークショーとサイン会が開催されていました。プレビューも一部紹介されているので、気になる方はこちらも合わせてご覧ください。

「雑の極意」とは

まずは雑に作ることの極意「雑の極意」について紹介します。

雑の極意

 一 、気軽に作り始めること

 一、完成度は低くてもまずは完成させること

 一、見た目にこだわらないこと

 一、1つの傑作より10の駄作を作ること

 一、広く深く学ぶより、いま必要なことを学ぶこと

 一、1つの技術で 10作品作ること

 一、「雑」をよいことととらえること

「雑の極意」をまとめると、完璧主義や細部への過度なこだわりを避け、実践と経験を重視する姿勢のことです。書籍『雑に作る』には、それぞれの極意について詳細な解説と電子工作における例が書かれています。

完璧主義だった筆者の体験

私はもともと「雑の極意」とは正反対の性格です。この違いを列挙すると以下のようになります。

  • 作り始めるのに腰が重い
  • 完成させることより完成度を意識する
  • 体裁にこだわる
  • 一つの作品に時間を掛ける
  • 浅く広く手を付ける
  • 一つの作品に多くの技術を取り入れようとする
  • 雑は悪だと捉える

これらの価値観は、現在の研究活動だけでなく、ギターや大学受験勉強、大学での学習、趣味のイラスト制作など、これまでの人生に大きな影響を与えてきました。例えば、シンガーソングライターに憧れて始めたギターでは、単に1曲を弾けるようになることを目標にするのではなく、教本の最初に書かれていたストロークの練習にひたすら時間を費やしました。大学受験の際には、対策の優先順位を決めずに受験科目すべてを均等に勉強し、成績はなかなか向上しませんでした。

「雑の極意」を知ったとき、私のこれまでの人生は、RPG(ロールプレイングゲーム)でレベル上げをせずにボスに挑むようなものだったのではないかと感じました。時間を掛けて工夫し、努力すればボスに勝てる可能性もありますが、基本的なレベルが不足しているため、闘いは非常に困難です。ボスの前に簡単に倒せる雑魚モンスターと戦って経験値を積み重ね、仲間を増やし、レベルを上げておく方が、ボスとの戦いにおいてもずっと有利になります。

「雑の極意」とアジャイル開発の類似点

アジャイル開発とは、柔軟性やスピード、顧客との継続的なコラボレーションを重視する、ソフトウェア開発のアプローチです。アジャイル開発は、筆者が所属しているBlueMemeが推進するDX事業における柱の一つとなっています。

アジャイル開発の思想と「雑の極意」は多くの類似点があります。

まず、迅速な実行と反復が共通の要素です。アジャイルでは、小さく始めて素早く反復することで、製品の改善を図ります。同様に、「雑の極意」でも、完璧な準備よりも実行を優先し、反復的なプロセスを通じて学び、成長することが強調されています。

次に、フィードバックの重視です。アジャイル開発では、顧客や利用者からのフィードバックを迅速に取り入れ、製品を進化させます。「雑の極意」も、完成品やプロセスを通じて得られたフィードバックから学ぶことで、次の試みをより良くすることを目指しています。

さらに、柔軟性と適応の重要性も両者に共通しています。アジャイルは変更への対応を重視し、計画の変更が容易です。「雑の極意」も、計画に固執するよりも現実に応じて調整することの重要性を語っています。

筆者としても世の中にアジャイル開発を普及させたいと考えているため、類似点の多い「雑の極意」が注目されていることは喜ばしいことです。

研究活動における「雑の極意」の応用

「雑の極意」は、研究活動にも効果的に応用できます。研究においては新規性と独自性が重要ですが、これらは決して無から生まれるものではありません。既存の研究の流れを理解し、それらが直面する課題や現状を把握することが、新たなアイデアの出発点となります。

私の専門分野であるゲノム解析では、ゲノムの問題をコンピューターアルゴリズムで解く方法についての論文を読むことが多いです。以前は論文を読んだだけで満足していましたが、最近は気になる論文の実装まで試すようにしています。実装を試みることで、その研究内容をより深く理解できるようになり、自分の研究にどのように活かせるかのイメージが湧きやすくなりました。

また、自分の研究においては、いきなり大規模な実験をするのではなく、まずは対象領域を絞って小規模なテストから始めるという方針を取っています。このアプローチにより、効果的な手法や有望な結果が見られた場合にのみ、段階的に実験の範囲を広げています。この方法により、より着実に成果を得ることができ、研究の進捗に対する実感が強まっています。

雑でもいいから、とにかく始めることが大事!

今回の記事では、「雑の極意」について解説しました。「雑に作る」と聞くと、ネガティブなイメージを持つ方も多いでしょうが、実践してみると驚くような成果が生まれます。創作活動に対して腰が重くなっている皆さん、一緒に雑に作ってみませんか。

雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集 | 石川 大樹, ギャル電, 藤原 麻里菜

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理人
理人
博多在住の研究員兼博士課程学生
エンジニアになるつもりで入社しましたが気づいたら研究をしていました。数学が専門ですが、研究はバイオ系です。ときどき採用面接をしたりします。オタクなので月に1度は遠征に出かけます。
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