APIって何だ?サービスやアプリ同士を接続する仕組みの基礎知識
仕事やプライベートに関係なく、一瞬でも何かのITサービスに無縁ではいられないのが私たち現代人の生活です。そこで、必ずと言っていいほどお世話になっているのがAPIです。別々のアプリケーションをつなぐ架け橋として機能する仕組みで、その重要性はますます高まっています。
クラウドサービスやモバイルデバイスの発達に伴って、APIによる連携は今後ますます増え、さらに高度化・複雑化しています。ローコード・ノーコード開発プラットフォームにも大いに関係しています。普段、特に意識することがなくても、APIの基本を知っておくことは、エンジニアに限らずいろいろな人たちにとって大切です。今回は、APIの基礎を見てみましょう。
サービスやアプリ同士をカンタンに接続できる便利なAPI
APIとは、Application Programming Interfaceの略で、複数のソフトウェア間でデータを交換する時に使われるインターフェースのことです。ソフトウェア同士が接続して、情報を交換するのに使うルールとプロトコルのセットです。
SaaSとして提供されているサービスの多くが、APIを経由して外部のサービスと連携できる機能を備えています。「インテグレーション」や「アプリケーション連携」などのメニュー名で表示されます。例えば、クラウドのノートやタスク管理、ドキュメントサービスのNotionからビデオ会議サービスのZoomを呼び出したり、オンラインホワイトボードmiroとクラウドストレージのDropboxを接続できます。一度設定しておけば、変更や解除などの必要がない限り、目に触れることはありませんが、非常に重要な機能を果たしています。
APIの技術的な概要とは
APIは、Webサービスや他のソフトウェア、アプリケーション、データベースなど、外部ソースからデータにアクセスし、操作するために使われます。その種類は、Web APIやライブラリAPI、OS APIなど、さまざまなタイプに分類できます。HTTP APIやREST APIとしても知られるWeb APIを例に挙げると、Webアプリケーション間の通信を可能にするために使われます。
APIが便利な点は、HTTPやSOAP、GraphQLなど、通信に異なるプロトコルを使用でき、柔軟な連携が可能なことです。
また、APIには公開型のパブリックAPIと、非公開型のプライベートAPIがあります。パブリックAPIは開発者が作って公開することで、自社のサービスの機能を他社のサービスに統合できます。一方のプライベートAPIは、特定のユーザーや組織の中だけに利用が制限されます。
一般のソフトウェア同様、APIにもバージョンがあり、既存の統合環境を阻害せずにより柔軟な更新や改善が可能になるように、後方互換性が確保されることが一般的です。
ただし、X(旧:Twitter)がAPIの仕様変更により、混乱が続いていることもソーシャルメディアで話題になっています。世界的に見て、アクティブユーザー率が非常に高い日本のビジネスユーザーには、動向が気になるところです。
APIを使う主なメリット・デメリット
便利で強力なAPIですが、もちろん、メリットもあればデメリットもあります。特徴を把握して、長所を活かし、短所には注意しながら利用していくことがポイントです。
APIのメリットや長所
相互運用性の向上:APIを導入することで、異なるアプリケーションが連携してデータを共有できるようになり、シームレスな統合と相互運用が実現します。
柔軟性の向上:他のシステムやサービスと簡単に統合できるため、アプリケーションを柔軟に開発できます。
効率性の向上:開発者が既存の機能やリソースを再利用できるAPIは、開発スピードやリソースの節約につながります。
ユーザー体験の向上:開発側だけでなく、ユーザーにもメリットがあるのがAPIです。必要な機能を外部から使えたり、データにアクセスが可能になることで、CX(ユーザーエクスペリエンス)の向上につながります。
新たな収益源に:APIは、自社のソフトウェアやシステムへのアクセスをサードパーティーの開発者に提供することを意味します。これによって、企業が新たな収益源となるチャンスが生まれます。
APIのデメリットや注意点
互換性の問題:異なるシステムやバージョン同士を統合する際に、互換性の問題に直面する可能性は常にあります。APIを経由したシームレスな統合を保証するには、メンテナンスが必須です。
複雑さ:大規模システムや複数の統合を扱う場合、APIを導入することで設計や実装、保守が複雑になる可能性もあります。
セキュリティーの懸念:APIという仕組みは、SQLインジェクション攻撃やXSS(クロスサイト・スクリプティング)攻撃などのセキュリティー侵害に対して脆弱な可能性があります。これらの脅威からサービスを守るには、セキュリティー対策が極めて重要です。
SaaS同士がAPIで連携することの価値
クラウド上で提供されるソフトウェアサービスSaaS(Software as a Service)の多くが、APIで相互に連携しています。前述の長所にも関連しますが、その主な理由は以下の通りです。これらはもちろん、SaaSとして提供されているローコード・ノーコード開発プラットフォームでも、大きな魅力となっています。
柔軟性:APIを使用することで、異なるSaaSプロダクト間でデータを簡単に共有でき、統合エコシステムを構築できます。開発スピードの点でも大きなメリットがあります。
自動化:APIを介せば、手動でのデータ入力や転送の必要がなくなり、業務プロセスを自動化できます。人力によるエラーやセキュリティーリスクも減らせます。
拡張性:新しい機能やサービスを追加するときに、APIを使用して既存のSaaSプロダクトに統合できます。必ずしも自社で開発しなければいい機能は、先行した他社を利用し、協同することが可能です。
API連携を自動化するiPaaSとしてのWorkato
iPaaS(integration Platform as a Service)として機能するWorkato(ワーカート)は、APIだけでなく、RPA(ロボット)やチャットボットなど、統合的なシステムインテグレーションを実現する強力なサービスです。
ワークスペースとは? | はじめてのWorkato – YouTube
基本的な使い方は、レシピと呼ばれるルールを作り、APIを設定し、認証用のプロファイルを作るだけとシンプル。Workatoを仲介してコネクターで接続することで、任意のアクションをトリガーとした柔軟な連携が可能です。RPAだけでは処理できないオートメーションやレガシーなシステムも、ワンストップで柔軟に実現でき、エンタープライズニーズにも対応しています。
Postmanのコミック「APIファーストの世界」で学ぶ基礎知識
先日、APIを構築・利用するためのAPIプラットフォームPostmanが、APIの基礎をテーマにしたコミックを公開していました。日本語にローカライズもされているので、これを見るだけでもAPIが何なのか、どんな役割を果たしているのかが分かるでしょう。
APIにも、技術の進歩に合わせたトレンドがあります。
例えば、最初からAPIを組み込むように設計し、それを基盤としてアプリケーションを構築するAPIファーストのアプローチは一般的です。これにより、開発効率がアップし、機能も再利用しやすくなります。また、これまで一般的に使われてきたRESTful APIの代わりに、GraphQLという新しいAPI規格が使われることが増えています。さらに、大きなアプリケーションを小さな独立したサービスに分割する、マイクロサービスアーキテクチャー化も無視できません。
詳しくは、次回の記事で解説します。